2012年12月12日水曜日

“若く未熟なネイト”の物語はいかにして生まれたのか。「アンチャーテッド -地図なき冒険の始まり-」Cre

SCE Bend Studio所属のCreative Director(脚本担当),John Garvin氏  PlayStation 3用タイトルとして発売されたアクションアドベンチャー「」「」「」は,世界で累計1300万本以上もの出荷本数を誇り,各国で栄えある賞を総なめにしている,PlayStationプラットフォームを代表するアクションアドベンチャーシリーズだ。
 プラットフォームをPS Vitaに移したシリーズ最新作「」は,主人公ネイトの“初めての冒険”を描くタイトルである。従来作のグラフィックスクオリティや物語のスケール感を損なうことなく,PS Vitaならではの機能もフル活用されており,プレイヤーにまったく新しい冒険体験を提供してくれる作品に仕上がっている。

 そんな「アンチャーテッド -地図なき冒険の始まり-」はどのようにして生まれ,どのように作られたのか。今回,SCE Bend Studio所属のCreative Director(脚本担当),John Garvin氏に,わずかな行数ではあったがメールインタビューする機会が得られたので,その内容をお届けしよう。大人気シリーズの最新作を,新ハードのローンチタイトルとして開発するという“大冒険”が,いかにスリリングなものであったかという点にも注目だ。


本作では「アンチャーテッド」シリーズの最初の冒険が描かれていますが,“若く未熟なネイト”というキャラクターを構築する上で,苦労した点はありますか?

John Garvin氏:
 私は「アンチャーテッド -砂漠に眠るアトランティス-」で描かれたネイトの過去彼がどのようにしてトレジャーハンターになったのかの一部を,事前に知っていました。それを知った上で,この前日譚的な部分にもう一歩踏み込み,「アンチャーテッド エル?ドラドの秘宝」へと繋がっていくネイトの人柄,夢,欲望,そして彼を冒険へと焚き付けるモチベーションを細かく創造していきました。その中で挑戦だったのは,すでに発売されている「アンチャーテッド」で明らかにされている内容(ネイトのキャラクター性)との食い違いが起きないように注意を払いながら,同時に,そこで語られていないネイトに関する新たな事実を,ストーリーの中にバランス良く盛り込むことでした。
マリサ,ダンテ,グエロといった,シリーズ初登場となるキャラクター達について,ネイトとの関連性や作中での存在意義を,あらためて教えてください。

John Garvin氏:
 もっとも重要なことは,各キャラクターに“アンチャーテッドらしさ”を保たせることでした。例えばマリサは強く,思慮深く,そして自立したキャラです。「アンチャーテッド」シリーズの中には“弱いキャラクター”はいないので,彼女もその法則に従った形にしました。彼女は新しい要素をシリーズに足す存在でなくてはならず,ネイトが初めて会う,トレジャーハンターでもレポーターでもない,しかし遺跡や歴史の謎を追い求めている種類の人間,ということになります。ネイトは彼女の目的に巻き込まれていく中で,同時に自分自身のことにより深く気付き始めるのです。


 ダンテはネイトの古くからの友達です。PS3版で登場するクロエ,フリン,カッターなど,トレジャーハンターとして活躍するネイトは怪しい知り合いを多く持っています。今回のダンテに関しては,彼らのような“アメリカ西海岸”的なキャラではなく,もっとずる賢くて頭の回転の速い,普通の人間であれば近寄りたくないタイプのキャラクターとして描きました。小さいが力強く俊敏で,頭の回転が速い。気を抜くと背後から刺されるのではないかと思わせるような,狡猾なキャラクターとして描いています。
 どんなストーリーでも,進んでいくうちに主人公たちは,何らかの障壁に直面します。ほかの「アンチャーテッド」のストーリー展開同様,今回も歴史的な財宝を手に入れるのは簡単ではありません。ネイトだけがその財宝を狙っているわけではないからです。グエロは,かつては力を持っていたが失脚した革命家崩れとして,実際の中南米における何人かの革命家をモデルにして作成しました。彼は自分の軍隊を立て直すための資金を欲していて,また一から革命を起こそうと躍起になっている存在として描いています。

ネイトの最初の冒険を描いた作品ゆえ,やりやすかったところがある半面,やりにくかったところもあったかと思いますが,その点についてはどうでしょうか。

John Garvin氏:
 チャレンジだった点の一つは,シリーズ元来のヒロインであるエレナを使用できなかったことです。エレナの温かく優しいキャラクターと,ネイトとの関係性を描きたい気持ちはありましたが,そもそも彼女は「アンチャーテッド エル?ドラドの秘宝」の時代まではネイトと知り合っていませんので,登場させられませんでした。
 もう一つのチャレンジは,作品の情報をどこまで公開するかという点のバランスです。本作を楽しむために他のシリーズ作品を遊んでもらう必要はないですが,知っていたほうが楽しみが広がる部分もあります。その情報をどのように伝えるかには,Diablo3 RMT,細心の注意を払っているつもりです。


今回の冒険の舞台設定について教えてください。

John Garvin氏:
 今回の冒険は,ネイトがマリサと「黄金のアミュレット」に遭遇することがその発端となっており,コンキスタドールの大量毒殺事件がその鍵となっています。400年前のスペイン人達の足跡を追うことから冒険が始まるのです。ゲームに深く関わっているマルコス?デ?ニサの話自体は,メキシコやアメリカ南柌郡扦嫌忻试挙胜韦扦工挨猡繁摔预盲皮い郡长趣鎸gだったとしたら?”という点から,今回のストーリーは作られています。

本作はPlayStation Vita本体と同時発売されました。ローンチタイトルゆえの技術的な挑戦など,とくに印象深かった点を教えてください。

John Garvin氏:
 今作には非常に多くのチャレンジがありました。まず開発段階で使用できるハードウェアがプロトタイプだったことは,大きな挑戦だったと言えます。ハードの開発チームと,例えばタッチスクリーンやモーションセンサーのバグを共同で修正したこともありました。「アンチャーテッド」だからこそ,PS Vitaの持つ機能の技術的限界に挑戦する必要があったのですが,その目的がある程度まで達成したと思えた瞬間にハード側の仕様変更が入り,一から作り直しになったことも一度や二度ではなかったです。開発開始からの最初の一年は,本当に何度もそのようなことがありました。
 もう一つの大きな挑戦は,PS Vitaの持つ多彩な操作インタフェースを使用することでした。単純にPS3版の「アンチャーテッド」をスケールダウンして携帯ゲーム機用にするのではなく,“PS Vitaのための”「アンチャーテッド」でなくては意味がないので。PS Vita特有の機能(カメラ?モーションセンサー?3G通信?タッチスクリーン/パッド等)を使って,プレイヤーがネイトとその世界に対して,楽しいだけでなくまったく新しいインタラクションができるようにしたかったのです。
 「アンチャーテッド」の素晴らしい点として,ゲーム設定の懐が非常に深い(アクション要素だけでなく謎解き要素などの多くの要素を持っている)点が挙げられると思います。ですのでPS Vitaの機能を自然な形でゲームに組み込みやすく,結果としてPS3版とは異なる,固有で新しい「アンチャーテッド」体験を生み出すことができたと思います。
今作には,画面を“こする”ことで謎解きをしたり,リネージュ2 RMT,背面タッチパッドを使用して“登る”操作をしたりといったアイデアが盛り込まれていますが,発想のきっかけとなったものはありますか?

John Garvin氏:
 私の母親が系図学者(genealogist)で,私が子供の頃によく,オレゴンの南部にある開拓者達の墓に連れていってもらいました。古い墓石の中には,掘られた文字が年月と共に消えてしまい,写真を撮っても誰の墓石だか認識できないものが多くありました。系図学者達はゲームと同じように,紙と炭を使って墓石の上で“こする”ことで,文字を分かりやすく浮かび上がらせる技術を使用していたんです。その知識が,今回の直接的なインスピレーションになっています。
 背面タッチパッドを使ってロープを“登る”アクションの操作に関しては,「指」を「手」に置き換えて,ロープを登る際の動きをそのまま模写しました。今までのボタン操作とは違う操作感覚を楽しめる,と評判も上々です。

もしまたPS Vitaで「アンチャーテッド」シリーズを作成する機会があったら,いかがでしょうか。

John Garvin氏:
 まだ伝えられていない「アンチャーテッド」の物語は,たくさんあると思います。歴史に埋もれた謎や,財宝,そして魅力溢れるキャラクター達のことを考えるのは,非常に楽しい作業になると思います。

最後に,日本にいる「アンチャーテッド」シリーズのファンと,今回PS Vitaで初めて「アンチャーテッド」に触れたファンの両方に,メッセージをお願いします。

John Garvin氏:
 まず,本作での“ゲーム体験”に,皆さんがビックリしていただけると思います。2時間以上のムービーシーン,素晴らしいロケーション設定,そしてリアルなサプライズの数々。私たちは本当に細かい部分まで,皆さんに楽しんでいただけるようにベストを尽くしたつもりです。
 そのこだわりの一端は,例えば古代スペイン人兵士達の大量虐殺現場のシーンなどで,よりリアルに情感を感じていただけるように,16世紀のラテン語を使って,本物の修道士のチャント(詠唱)を書き起こし,男性のコーラスで音楽を作成したことなどが挙げられます。この音楽はゲーム内のいくつかの重要なシーンで使用されていますが,合計で25曲以上の楽曲がこのゲームのために書き起こされ,作品内の情感を伝えるのに役立っています。
 ゲームをクリアしたあとに,皆さんがその“冒険体験”を通して,「参った……これぞアンチャーテッド!」と言っていただけるのを,楽しみにしています。
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